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【呼吸療法認定士】一発合格者が「肺機能とその検査法」のまとめを紹介します

各章のまとめ

呼吸療法認定士を目指しているけど、「肺機能とその検査法」の範囲が苦手で勉強が進まないなぁ。わかりやすくポイントをまとめてほしいです。

この記事はこういった人におすすめです。

この記事を書いている私は、第26回呼吸療法認定士認定試験に一発合格した看護師です。

私が実際に勉強して、思ったことや感想なども入れながら、読んでくれている方にできるだけわかりやすく第5章「肺機能とその検査法」のまとめを紹介していきたいと思います。

少しでもこれから受験する方の参考になれば嬉しいです。それではどうぞ。

【呼吸療法認定士】肺機能とその検査法

肺機能検査とは

肺機能検査とは、肺に空気を取り込む能力、肺から空気を出し入れする能力、肺で酸素と二酸化炭素を交換する能力を測定する検査のこと。

肺機能検査で使用する記号と基準値

基本記号

基本的な量を示す

記号記号が示す物理量英文表記
Vガス量volume
P圧力pressure
Fガス濃度
濃度分画
gas concentration
fraction
C含量・コンプライアンスcontent
compliance
S飽和度saturation
Q血流量quantity
R呼吸商または抵抗respiratory quotient
D拡散能または分圧較差diffusing capacity

二次記号

条件・性状・由来などを示す

<気相>・・・大文字

記号記号の意味英文表記
I吸気inspiratory
E呼気expiratory
A肺胞気alveolar
T1回換気tidal
D死腔気dead space
B大気barometric

<液相>・・・小文字

記号記号の意味英文表記
a動脈血arterial
静脈血venous
v(上にバーあり)混合静脈血mixed venous
毛細血管capillary

記号を覚えるのは大変でしたが英文の意味と組み合わせて覚えることで頭に入りやすかったですよ。

圧力の単位

1気圧=760mmHg=760Torr=101.3Kpa

1Kpa=7.53mmHg=7.53Torr

1気圧=1033cmH₂O

1Kpa=約7.53Torr

※mmHg=Torr

ここはよく問題に出題されるので暗記しましょう!!

気体の状態を表す表現

略語温度気圧湿度使用用途
BTPS37℃測定時気圧100%肺活量などの肺気量分画や換気量などの検査
ATPS測定時室温大気圧100%気量型スパイロメーターやライトのレスピロメータ、
ベンチレータで設定した換気量
STPD0℃1気圧0%酸素摂取量、二酸化炭素排出量、拡散能など

ここもよく問題に出題されます。

具体的には「BTPS・ATPS・STPD」の意味やそれぞれどのような場合に使うのかが問われます。

それぞれの意味は、英文の意味を覚えると暗記しやすいと思います。

まず、前の2文字が温度を示しています。

3文字目はPressure(圧力)ですべて同じです。

最後の4文字目は、Dry(乾燥状態)かSaturated with water vapor(飽和状態)かを示します。

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

BTPS(Body Temperature ambient Pressure Saturated with water vapor)

<1文字目・2文字目>

BT:Body Temperature(体温)

<4文字目>

S:Saturated with water vapor(飽和水蒸気)

つまり、『体温37℃、測定時気圧、飽和水蒸気(湿度100%)』という条件を表します。

肺活量などの肺気量分画や換気量などの検査での条件です。

ATPS(Ambient Temperature ambient Pressure Saturated with water vapor)

<1文字目・2文字目>

AT:Ambient Temperature(測定時温度)

※Ambient は「周囲の」という意味。

<4文字目>

S: Saturated with water (飽和水蒸気)

つまり、『測定時温度、大気圧、飽和水蒸気(湿度100%)』という条件を表します。

気量型スパイロメーターやライトのレスピロメータ、ベンチレータで設定した換気量はATPSで表されます。

STPD(Standard Temperature standard Pressure and Dry)

<1文字目・2文字目>

ST:Standard Temperature(標準温度)

<4文字目>

D:Dry(乾燥状態)

つまり、『標準温度0℃、標準気圧(1気圧)、乾燥状態(湿度0%)』という条件を表します。

酸素摂取量、二酸化炭素排出量、拡散能などを表す時に使用されます。

主な呼吸機能検査

スパイロメトリー検査

スパイロメトリー検査とは、呼気量と吸気量を測定し、各種肺気量を調べる検査のことです。

スパイロメトリー検査に用いられる機種
気量型スパイロメータ気量ボリュームを実測して微分によりフロー(気速)を求める・ベネディクト・ロス型スパイロメータ
・ローリングシール型スパイロメータ
気速型スパイロメータフロー(気速)を実測して積分により気量ボリュームを求める・ニューモタコ式
・熱線型
スパイロメトリー検査方法

①クリップで鼻をつまんでマウスピースをくわえる

②数回普通に呼吸をする⇒1回呼吸量を測定

③掛け声に合わせて最大限に吸えるだけたくさんの空気を吸う。

 できるだけ速いスピードで吸った息を吐き切る。⇒肺活量の測定

肺気量分画

肺気量分画とは、スパイロメトリーによって得られた下記のような波形のことを指します。

肺気量は、下記の2つに分けられます。

基本量(volume):重複しない肺気量

基本容量(capacity):組み合わせによる肺気量

問題では、英語の略語で出題されることが多いので、略語の意味を覚えておくことをおすすめします。

基本量(volume)

  • 1回換気量(TV:tidal volume)⇒安静呼吸時の1回の呼吸量
  • 予備吸気量(IRV:Inspiratory Reserve Volume)⇒安静吸気位からさらに吸気できる吸気量
  • 予備呼気量(ERV:Expiratory Reserve Volume)⇒安静呼気位からさらに呼出できる呼気量
  • 残気量(RV:Residual volume)⇒最大呼気後に肺内に残っている空気の量

基本容量(capacity)

  • 肺活量(VC:Vital Capacity)⇒予備吸気量(IRV)+1回換気量(TV)+予備呼気量(ERV)
  • 最大吸気量(IC:Inspiratory Capacity)⇒予備吸気量(IRV)+1回換気量(TV)
  • 機能的残気量(FRC:Functional Residual Capacity)⇒予備呼気量(ERV)+残気量(RV)
  • 全肺気量(TLC:Total Lung Capacity)⇒肺活量(VC)+残気量(RV)
ポイント

残気量はスパイロメトリーでは測定できない。

そのため、①残気量②機能的残気量③全肺気量はスパイロメーターでは測定できない!

「スパイロメトリーで測定できない項目は何か?」という問題が多くあるのでしっかり覚えておきましょう!

換気障害分類

スパイロメータで測定した肺気量分画から「1秒率(FEV₁%)」「1秒量(FEV₁)」「%肺活量(%VC)」を求めることで、換気障害の分類が行えます。

「%肺活量(%VC)」「1秒率(FEV₁%)」の計算方法は下記の通りです。

%肺活量(%VC)

実測肺活量が予測肺活量の何%か求めた値

%肺活量=(実測肺活量/予測肺活量)×100

1秒率(FEV₁%)

1秒間にどれだけ多くの息を吐けるか

1秒率=(1秒量/肺活量)×100

換気障害の分類は以下の通りです。

<正常>

%肺活量(%VC)≧80%かつ1秒率(FEV₁%)≧70%

<閉塞性換気障害>

%肺活量(%VC)≧80%かつ1秒率(FEV₁%)<70

※吸気はスムーズ(肺や胸郭は広がる)だが、気道閉塞で呼出しづらい

COPD・肺気腫・喘息・びまん性気管支炎・慢性気管支炎などが当てはまります。

<拘束性換気障害>

%肺活量(%VC)<80%かつ1秒率(FEV₁%)≧70

※吸入しずらい(肺や胸郭が広がらない)が呼気はスムーズ(気道閉塞無し)

肺線維症・間質性肺炎・胸郭形成術後・筋肉、神経疾患などが当てはまります。

<混合性障害>

%肺活量(%VC)<80%かつ1秒率(FEV₁%)<70

拘束性換気障害と閉塞性換気障害が合併した状態です。

フローボリューム曲線

フローボリューム曲線とは、努力肺活量の測定時に得られる努力呼気曲線を元に、縦軸を気速、横軸を気量として表した曲線のことをいいます。

フローボリューム曲線の型を判断し、疾患を確定することができます。

正常なフローボリューム曲線は下記のような形です。

次それぞれの疾患のフローボリューム曲線を見ていきましょう。

(出典:アステッキイーラーニングより)

①正常パターン

中枢気道の空気を一気に呼出した後、末梢気道の空気を一定の割合で速度を落としながら呼出するため、直線的なパターンとなります。

②肺気腫パターン

肺活量の減少が著しいため、呼出できる空気が少なく、ピークフローが低下します。また、末梢に高度な狭窄があるため、ピーク以降の気流速度は急激に低下し、下に凸の曲線となります。

主な疾患は肺気腫・COPD・びまん性汎細気管支炎などが当てはまります。

③肺線維症パターン

線維化により細気管支が代償性に拡張し、末梢の気流速度はあまり低下しないため、上に凸の曲線となります。しかし、肺気量は低下しているため、曲線の幅は狭くなっています。

主な疾患は、肺繊維症・間質性肺炎・無気肺・神経筋疾患などが当てはまります。

④末梢気道閉塞パターン

末梢気道が全体的に狭窄しているため、気流速度が低下して下に凸の曲線となります。

主な疾患は、気管支喘息です。

上気道閉塞パターン

上気道の閉塞により呼気が全体的に抵抗を受けるため、気流速度は一定以上に上昇せず台形の曲線となります。特徴的な形の為、覚えやすいですね。

主な疾患は、悪性腫瘍・炎症性瘢痕などによる上気道の狭窄などが当てはまります。

フローボリューム曲線はよく問題に出題されます。試験にも出題されていました。丸暗記ではなく、「なぜこういう形になるのか」という理由と合わせて覚えると頭に入りやすいですよ。

N₂単一呼出曲線

N₂単一呼出曲線(クロージングボリューム)とは、末梢気道病変の検出方法の一つの検査のことを言います。肺内換気の不均等性を調べることができます。

<検査方法>

①最大呼気位まで呼出

②純酸素を精一杯吸い込む

③ゆっくりと一定(気速:約0.5L/s)に完全呼出

④クロージングボリュームが得られる

クロージングボリューム曲線は、正常では下記の図のような曲線となります。

<肺内ガスの動き>

第Ⅰ相

死腔部分の純酸素の呼出

第Ⅱ相

死腔ガスと肺胞気ガスの混合気

第Ⅲ相

肺胞気ガスの呼出部

第Ⅳ相

肺底部の気道が広範囲に閉塞するため傾きが上昇する

略語の意味

CV:クロージングボリューム

CC:クロージングキャパシティー

VC:肺活量

TLC:全肺気量

RV:残気量

喫煙者末梢気道の閉塞例は下記のようになります。

CVが増加し、第Ⅳ相が現れるのが早くなります。

肺気腫などの閉塞性疾患(COPD)では下記のようになります。

第Ⅲ相と第Ⅳ相の境界が不明瞭化し、急傾斜となります。

気道可逆性試験

気道可逆性試験とは、気管支喘息を疑う場合に行われる検査です。試験を行うことで、喘息の有無を診断できます。

<方法>

①吸入前にスパイロメトリーを行い、1秒量を測定

②気管支拡張剤(β₂刺激薬)の吸入

③吸入後に再度スパイロメトリーを行い、1秒量を測定

④吸入前後の1秒量から改善率を計算する

改善率(%)=(負荷後1秒量ー負荷前1秒量)/負荷前1秒量×100

12%以上かつ1秒量が200ml以上改善した場合、可逆性ありと判断でき気管支喘息の可能性が高いと診断されます。

気道過敏性試験

気道過敏性試験とは、気管支喘息の診断や重症度の判定に使われる検査です。

気道過敏性試験には下記の2種類の方法があります。

標準法

標準法では気管支刺激薬(アセチルコリン等)を低濃度から吸入し、吸入後スパイロメトリーによる1秒量を測定します。1秒量が刺激前の値より20%以上低下するまで順次薬剤濃度を上げていきます。


1秒量が20%以上低下するときに吸入した溶液の薬剤濃度を閾値と呼び、喘息患者では、薄い濃度の薬剤で閾値に至ります。

アストグラフ法

アストグラフという機械により、薬剤濃度を変化させて気道の呼吸抵抗の変化から閾値を決定する方法です。

気道過敏性試験はどちらの方法も気管支刺激薬を使用するので気管支喘息発作の誘発に注意します。

必ずICを取り、医師の立会いの元で実施する必要があります。

最後に

最後まで読んで頂きありがとうございます。

少しでもこれから受験される方の参考になれば嬉しいです。

それでは、本日も勉強頑張ってくださいね!

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